語源で英単語を学びましょう。語源での英単語学習には以下のメリットがあります。
①関連付けて覚えるので、一度に沢山の単語を覚えられる。
②(①と関連しますが)複数の単語と関連付けて覚えられるので、単語の意味を思い出しやすい。
③スペリングを見ただけで意味を推測できる単語もある。
今回は「in_em_en」= 中へ を取り上げたいと思います。
出典 pixabay
enter(入る)はラテン語のintrare(入る)に由来します。歴史的にin→enという変化が起こっているのです。inのままの単語とen(em)に変化したものとがあります。
今回取り上げるin(em・en)は、英単語のin(前置詞・副詞)と同じ意味だと思って差し支えありません。ただし、inが「否定(~でない)」を表している場合もありますので要注意です。例えば、informのinは「中へ」を意味しますが、informalのinは「否定」です。informalはformal(フォーマルな・改まった)の反対で、「略式の・非公式の・くだけた」を意味します。このようにinが形容詞の頭について意味を反転させる例はたくさんあります。
では、informを見てみましょう。form(形)をもった状態にする、つまり形を与えるということです。このinはintoのような意味になっています。前置詞のin(~のなかにある→~という状態にある)と、into(~という状態になる)の用法を思い出してください。「inform A of B」という形式をご存じの方も多いでしょう。「A(人)にBについての情報を知らせる」という意味です。日本語では「Bを知らせる」ですが、英語では「Aさんをinformする」という形になっています。Bという情報を用いて、Aさんの(頭のなかの)形を変えてしまう、といった発想なのですね。このように、語源を考えると語法についても理解しやすくなることがあります。
in_em_enがintoのような意味を持つ場合を他にも見てみましょう。intend(~するつもりだ)という動詞は、in+tend(語源:伸ばす)からなり、「~のほうへ(心を)伸ばす」ということです。inflameは燃えている状態にする(flame=炎)というわけで、「強い感情を引き起こす・あおる」「炎症を生じさせる」という意味になります。「炎症」は inflammationです。
基本英単語にin_em_en(接頭辞:中へ)が付加された例をあと2つ見ておきましょう。まずembody。例えば“Kennedy embodied all the hopes of the 1960s.”は「ケネディは1960年代の希望をすべて体現していた」という意味になります。具体的なもの(Kennedy)が抽象的なもの(hope)に実体を与える、という発想です。embedはbed(寝床)に収めるということで、容積のあるものや土台となるもののなかに「埋め込む・はめ込む・植え込む」という意味になります。
IT関係で“an embedded system”と言えば「組み込みシステム・組み込み系」のことです。PCのような汎用コンピュータとは違い、組み込み系は一つの用途に特化した設計がなされ、製品のなかに embed されています。下の動画では「組み込み系エンジニア」の仕事が紹介されています。
なお、enとなるかemとなるかは後続音によって決まります。「b」「p」「m」で始まる単語につく場合はem、それ以外はenです。inはimとなります。例えばimmigrate=in+migr(語源:移動する)+ate(接尾辞:~する・させる)で、意味は「(自国から他国へ)移住する」です。
次回に続きます。