第64回 語源で学ぼう! me = 測る

語源で英単語を学びましょう。語源での英単語学習には以下のメリットがあります。

①関連付けて覚えるので、一度に沢山の単語を覚えられる。
②(①と関連しますが)複数の単語と関連付けて覚えられるので、単語の意味を思い出しやすい。
③スペリングを見ただけで意味を推測できる単語もある。

今回は「me」= 測る を取り上げたいと思います。

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出典 pixabay

英語で「測る」を意味する最も一般的な単語は measure です。これはラテン語の mensurare に由来します。measuremea(=me)が「測る」を意味する語源で、sure の部分は元来は文法的な役割(動詞変化)を担っていましたが英語では形骸化しています。

長さの単位「メートル」は英語では metre です(アメリカ英語では meter)。metre は詩の「韻律」や音楽の「拍子」を意味する単語として古くから使われてきました。metre はラテン語の metrum (=「寸法・測る単位」)に由来し、metrum はさらに古代ギリシア語の metron に由来します。metre の場合も me が「測る」を意味し、 tre は文法的な語尾の残滓です。

ちなみに「メートル」は現在では光の速さを用いて定義されますが、1960年まではプラチナ・イリジウム合金製の「メートル原器」が基準で、フランスの国際度量衡局にあるオリジナルからコピーが作られ各国に配布されていました。かつて日本で使われた原器が下の動画に登場します(2:35 ~)。


次に、me に接頭辞がついた例を見ていきましょう。

immense =「im(否定)+me(測る)」(nse は形骸化した語尾)。量や規模が通常のやり方では測りきれないほどに「極端に大きい」ことを表します。

geometrygeo は「土地・大地・地球」を意味する接頭辞です(try は形骸化した語尾)。geometry =「土地を測る」ですが、単語の意味は「測量」ではなく「幾何学」です。実を言えば、古代エジプトで正確な土地測量のために考え出された計算法・測定術が geometry の起源で、これが古代ギリシアを介して理論化されて「幾何学」となりました。

幾何学関連の単語としては次のようなものがあります。

trigonometry =「三つ(tri)の角(gon)を測る(me)」=「三角法」(これも古代メソポタミアやエジプトで測量・天文観測のために考え出された計算法が起源です)

diameter =「通して(dia)測った(me)もの」=「直径」

symmetry =「同様に(sym)測られる(me)こと」=「対称・対称性」

最後にちょっと意外な単語を見ておきましょう。moonmonth は言うまでもなく「月」を意味しますが、実はこれもはるか昔に遡れば me(測る)に由来します。

月の満ち欠けは見た目にわかりやすく、約29.5日という短いスパンで一巡りするため、太陽を基準にするよりもはるかに簡便です。黎明期の人類文化にとって、月を基準にして物事を測るというのは実に自然なことだったに違いありません。

尚、KOTOBAにはネイティブスピーカーの実際の発音を聴ける機能があります。meterdiameter で "me" の発音が少し異なります。意味を効率よく覚えたついでに各々の単語の以下の箇所で発音もチェックしておきましょう。

meter
diameter
また、me(語源:測る)の残りの英単語も以下の赤枠内のタグをクリックして表示させ覚えてしまいましょう。

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語源学習のメリットとして、知識があまりないところからでも難易度の高い英単語までを比較的短時間でカバーできる点が挙げられます。

次回は dia(接頭辞:~を通して)について見ていきましょう。