第12回 語源で学ぼう! ex_em= 外へ・なし・全く(2)

語源で英単語を学びましょう。語源での英単語学習には以下のメリットがあります。

①関連付けて覚えるので、一度に沢山の単語を覚えられる。
②(①と関連しますが)複数の単語と関連付けて覚えられるので、単語の意味を思い出しやすい。
③スペリングを見ただけで意味を推測できる単語もある。


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今回は前回に引き続きex_em= 外へ・なし・全く を取り上げます。前回ex_emin_em_en(接頭辞:中へ)と対比させて考えましたが、今回は「何をどう外へ出すのか」注目していくつかの単語を見ていきましょう。

出典 pixabay

上の写真はトンネルをexcavateしているところです。excavatecavは「空洞」を表します。似た単語にevacuateがあり、vacは「空っぽ」を表します。cavは「洞」、vacは「真空」のイメージです。どちらの単語も「中身を取り去って空にする」ということですが、excavateの方は「(穴などを)掘る・発掘する」、evacuateは「(自分の体をその場から取り去って)立ち退く・退避する・避難する」という意味です。

生き物ならこの「出す」を日々欠かすことができません。excrete=「排泄する」。cretは「ふるい分ける」を表す語源です。入れて分けて出す、これぞ命の営みです。「排泄」とは老廃物や不要物を体外に排出することで、もともとは特定の排出物についてだけ言うものじゃございません。

effluentfluは「流れる」という意味の語源。effluentはもともとは「流れ出る」様子を表した形容詞でしたが、今では名詞として工場の「廃水」や下水道を流れる「汚水」を指すのが一般的です。

exorcismは「悪魔払い」、とくにカトリック教会のエクソシズムを指します。接尾辞のismは「主義」の意味がよく知られていると思いますが、ここでは一定の型や傾向を持った行為を指しています(criticism「批評」、heroism「英雄的行為」などと同じ)。orcは「誓約」を意味しますが、特殊な語源なのでこれ自体は覚えなくてよいでしょう。

キリストの名の下に悪魔を外に追い出すのがエクソシズムで、それを執り行う特別な聖職者がエクソシスト(exorcist、ist=「~する人」)です。『エクソシスト』というホラー映画の名作がありますが、実はカトリック教会は今でもひっそりと「悪魔払い」を行っています。といってもこれは「魂」を巡る精神的な儀式で、実施には厳しい条件が課されます。映画でもそういう設定なのですが、娯楽フィクションですから物質的に色んなものが飛び出ます。

最後に一つ専門用語を見ておきましょう。数学でexponentと言えばべき乗の「指数」、“an exponential function”は「指数関数」のことです。指数関数は非常に広い分野で活用されています。exponentponは「置く」を意味します。数の右肩に出して書かれるのでexponentというわけですね。指数関数的(exponential)増加といえば、変化がさらに変化を加速させるような急激な増加のことです。

今回はここまで。ex_em(接頭辞:外へ・なし・全く)の残りの英単語も以下の赤枠内のタグをクリックして表示させ覚えてしまいましょう。

語源学習のメリットとして、知識があまりないところからでも難易度の高い英単語までを比較的短時間でカバーできる点が挙げられます。

次回はpon_pos_pound(語源:置く)について見ていきましょう。