第94回 語源で学ぼう! ab = 離れて

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語源で英単語を学びましょう。語源での英単語学習には以下のメリットがあります。

①関連付けて覚えるので、一度に沢山の単語を覚えられる。
②(①と関連しますが)複数の単語と関連付けて覚えられるので、単語の意味を思い出しやすい。
③スペリングを見ただけで意味を推測できる単語もある。

今回は「ab」= 離れて を取り上げたいと思います。


出典 pixabay

ab と似た意味を持つ接頭辞に dedis があります。de は「離す」「除く」などの動作・行動に焦点があり、dis は「物と物が離れる・分かれる」ことを表します。

一方、ab はもともとラテン語の前置詞で、英語で言えば from(または away from) などに当たり、そのままの意味で使われる場合(①)と、②「通常(正常)の状態や元の状態から離れる」、③「悪いもの・軽蔑すべきものとして遠ざける」というニュアンスを持つ場合があります。

①の例に aborigine があります。aborigine は「ab(from)+origine(the beginning)」つまり「初めから・元から」を表し、英単語としては「元からその土地に住んでいた人(先住民)・元から生息していた動植物」を意味します。Aborigine と大文字で始めるとオーストラリア先住民を指します(白人側から与えられた呼称で、差別的な響きがあります)。

同様に、absorb は「対象から(ab)液体などを吸い(sorb)取る」ことで、「吸収する」という意味になります。

abnormal(= normal から離れた→異常な)は単語全体で②のような意味になりますが、 ab の意味に関しては①に当たります。

ab だけで②の意味になる例をいくつか並べてみましょう。

abuse =「ab(正常ではないやり方で)+use(使う・扱う)」→「悪用する・乱用する・虐待する」
aberrant =「ab(常道から)+err(はぐれる)+ant(形容詞語尾)」→「常軌を逸した」
abduct =「ab(不正によそへと)+duct(導く)」→「誘拐する」
abstract =「ab(元とは違う次元へ)+引き出す(tract)」→「抽象的な」(形容詞)、「抽象化する・抽象的に考える」(動詞)

なお、abstract には「(ある場所から何かを)引き出す・抜き取る」「(論文や本の)要約を作る」という意味(①の例)などもあります。

アメリカには「宇宙人に誘拐された」と主張する人々がたくさんおり、第二次大戦後にアメリカで広く普及した精神分析系のセラピー文化との関係が指摘されています。「宇宙人による誘拐(alien abduction)」の記憶の多くは(真偽はともかく)催眠療法を通して「取り戻された」ものです。20世紀末には幼児期の性的虐待を巡って多数の親と子、セラピスト、学者などを巻き込んだ「虚偽記憶」論争(法廷闘争)が巻き起こりましたが、無実を訴える宇宙人はまだ現れていないようです。

最後に、③「悪いもの・軽蔑すべきものとして遠ざける」の例に当たる単語をいつくか見ておきましょう。

abjure =「放棄する(ab)と誓う(jur)」→「(信念・主張・悪癖などを)捨てると宣言する」
abstain =「(悪い影響を持つものから)身を遠ざけ(ab)続ける(tain)」→「慎む・控える」

abject =「軽んじられ放り(ab)投げ(ject)られた」→「(貧しさ・不幸・失敗などが)目も当てられないくらいひどい」「(態度が)卑屈な」

今回はここまで。ab(接頭辞:離れて)の残りの英単語も以下の赤枠内のタグをクリックして表示させ覚えてしまいましょう。

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語源学習のメリットとして、知識があまりないところからでも難易度の高い英単語までを比較的短時間でカバーできる点が挙げられます。

次回は ject(語源:投げる)について見ていきましょう。

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