語源で英単語を学びましょう。語源での英単語学習には以下のメリットがあります。
①関連付けて覚えるので、一度に沢山の単語を覚えられる。
②(①と関連しますが)複数の単語と関連付けて覚えられるので、単語の意味を思い出しやすい。
③スペリングを見ただけで意味を推測できる単語もある。
今回は「gno」= 知る を取り上げたいと思います。
出典 pixabay
英単語の know は語源 gno とよく似ています。これは偶然ではなく、歴史をたどればもとは同じなのです。
ヨーロッパ言語の大半はインド・ヨーロッパ語族という大きな系統に属しています。英語やドイツ語はゲルマン系という大きな枝に属し、フランス語などはラテン語を親とする枝に属しますが、さらに遡ればゲルマンの枝もラテンの枝も同一の枝もしくは幹に接続するのです。
「知る」を意味する要素はラテン語(やギリシア語)の枝に分かれるときに gno 、ゲルマン系の枝では knew となり、後者がやがて英語の know に至ります。英語はフランス語を介してラテン語やギリシア語由来の語を大量に吸収したため、 gno を含む英単語も存在しています。
例えば、ignorant は「i(否定)+gno +ant(形容詞を作る語尾)」で、「無知な」「(特定の事柄について)知らない」を意味します。
prognosis(名詞)と prognosticate(動詞)はいずれも「前もって(pro)知る(gno)」ことを表しますが、意味は大分違います。prognosticate は「予言する・予知する」を意味し、prognosis は大昔には「予言・予知」を意味しましたが、現在では「予測」、とくに「予後」を指します(「予後」とは病気の経過・治癒の見通しについての医師の予測です)。
cognition と recognition には語源的に少しねじれた関係があります。
cognition はラテン語の動詞 cognoscere に由来します。cognoscere =「co(みな・すっかり)+ gnoscere(知る)」で、「学び知る」を意味します。あるいは完了形で使うと「(すでに学んで)知っている」という意味になります。したがって英語でいえばむしろ recognize(名詞形 recognition、tion=~する事) に近い単語です。
実を言えば英語では cognition の co の意味合いが消えてしまったのです。cognition が一般的に「知る・わかる」という働き(「認知」)を意味するようになり、 cognition に re(=再び) をつけた recognition や recognize が「過去に得た経験・知識に照らして何だか・誰だかわかる」ことを表すようになりました。
一方、connoisseur という単語は古いフランス語の形と意味を継承していて、「すっかり(con)知っている(noi)人(eur)、知り尽くしている人」=「鑑定家」を意味します。
ところで、カリフォルニアワインといえば今では世界的に有名ですが、今につながるワイン作りが始まったのはやっと1960年代になってからのことです。そして1976年にパリで起こったある「事件」がきっかけで一気に名を高めます。一流のフランス人 connoisseur たちが銘柄を伏せてカリフォルニアとフランスのワインを試飲し評価した結果、カリフォルニアの銘柄が1位を獲得したのです。
下の動画はこれを題材にした映画の試飲会の場面です。カリフォルニアなど相手にもならないと思い込んでいたフランスの connoisseur たちの様子には、「知る」ことの危うさが刻まれています。
今回はここまで。gno(語源:知る)の残りの英単語も以下の赤枠内のタグをクリックして表示させ覚えてしまいましょう。
語源学習のメリットとして、知識があまりないところからでも難易度の高い英単語までを比較的短時間でカバーできる点が挙げられます。
次回は tion(接尾辞:~する事)について見ていきましょう。