語源で英単語を学びましょう。語源での英単語学習には以下のメリットがあります。
①関連付けて覚えるので、一度に沢山の単語を覚えられる。
②(①と関連しますが)複数の単語と関連付けて覚えられるので、単語の意味を思い出しやすい。
③スペリングを見ただけで意味を推測できる単語もある。
今回は「therm」= 熱 を取り上げたいと思います。
出典 pixabay
therm は科学用語などの硬い言葉に用いられることが多い語源です。単語の綴りも長くなる傾向があります。
例えば thermometer という単語があります。長めで、ちょっといかつい感じがしますね。ただしこの単語は日常でもよく使われます。意味は「therm(熱)+ me(ter)(計る・はかり)」と語源に分解すればすぐにわかります。「温度計」です。なお、「体温計」は正式には clinical thermometer と言いますが、日常的には thermometer で通じます。thermometer は「日常語になった専門語」といった雰囲気があります。
thermal は therm を形容詞にしたもので、「熱の・熱に関する」を意味します。衣料素材・生地について「断熱(防寒)の」を意味することもあります。米国では「綿または綿混で、ハニカム(ワッフル)編み」のものを thermal と呼ぶ傾向があります。日本にもこの意味で「サーマル」という言葉が入りました。
以下、科学的な専門用語を見ていきます。
thermodynamics は物理学の一分野で、「熱力学」と訳されます。「力学」と訳される単語には dynamics と mechanics がありますが、正確に言えば dynamics(動力学)と statics(静力学)を合わせたのが mechanics(力学)です。
mechanics = mech(機械・仕掛け)+ ics(学)=力の働き方についての学問=力学
dynamics = dynam(力)+ ics(学)=力による運動の変化を扱う学問=動力学
statics=stat(立っている・止まっている)+ ics(学)=力が釣り合っていて運動が変化しない場合の力学=静力学
力学の研究では dynamics のほうが中心になり、statics は dynamics の特殊な場合とも見なせるため、日本語では dynamics も「力学」と訳す場合が多々あります。
上で見た thermal という形容詞に iso(=等しい)という接頭辞をつけると isothermal という語になります。天気図などの isothermal line(等温線=同じ温度のところをつないだ線)、熱力学の isothermal process(等温過程=一定温度下での状態変化)が代表的な使用例です。
また、thermal に geo(=地球)という接頭辞をつけたのが geothermal(地熱の)です。geothermal energy(地熱エネルギー)は地球内部の熱エネルギーのことです。
噴火、間欠泉、温泉などはまとまった量の geothermal energy が地表に湧出することで生じます。下の動画は活発な火山活動で知られる「ピトン・ドゥ・ラ・フルネーズ山」の様子を映したものです。geothermal energy のほんの一部が露出しているにすぎませんが、すごい迫力です。
尚、KOTOBAにはネイティブスピーカーの実際の発音を聴ける機能があります。thermometer と thermodynamics ではアクセントの位置と"thermo"の発音が異なります。意味を効率よく覚えたついでに各々の単語の以下の箇所で発音もチェックしておきましょう。
また、therm(語源:熱)の残りの英単語も以下の赤枠内のタグをクリックして表示させ覚えてしまいましょう。
語源学習のメリットとして、知識があまりないところからでも難易度の高い英単語までを比較的短時間でカバーできる点が挙げられます。
次回は me(語源:測る)について見ていきましょう。