語源で英単語を学びましょう。語源での英単語学習には以下のメリットがあります。
①関連付けて覚えるので、一度に沢山の単語を覚えられる。
②(①と関連しますが)複数の単語と関連付けて覚えられるので、単語の意味を思い出しやすい。
③スペリングを見ただけで意味を推測できる単語もある。
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今回は「dis」= 離れて を取り上げたいと思います。
出典 pixabay
dis の基本的な意味は「離れて」ですが、「ばらばら」「まばら」「別々」「分けて」といった意味の広がりがあります。
distract(tract=引く)は大事なことや気になって仕方ないことから注意を引き(tract)離す(dis)ことです。気を「散らす」「紛らわす」などと訳せます。
dissolve(solv=溶ける・溶かす)は「溶解する」、dilute(lu=洗う) は「希釈する」を意味します(後者は音便のために dis→diと変化)。固体が液体に溶けてばらばら(dis)になり、全体として均一の新しい液体が生じるのが dissolve です。dilute は水などを足して成分をまばら(dis)にし、濃度を下げることです。
distinct(stinct=刺す)は「はっきり異なった・別々の」という意味の形容詞です。「尖ったもので印をつけ区別する」というのが原義だと思われます。distinct に対応する動詞が distinguish(stinguish=sting=stinct)で、「見分ける」という意味です。
discern(cern)=ふるい分ける)は distinguish の同義語で、やはり「見分ける」と訳すことができますが、ニュアンスは違います。see(見える・見てわかる)と look(目を向ける・見ようとする)の違いに当たると言えます。distinguish は「違いがわかる」こと、discern は注意深く目を向けて「違いを見つける」ことです。
discern と同じ語源構成の単語に discrete と discreet(ともに形容詞で同音)があります。discrete は distinct とほぼ同じ意味です。discreet の方は善悪・立場・事情などをよく「わきまえ」て慎重な行動をとるさまをいいます(相手に配慮し丁寧な態度をとる場合や、自分の都合のため隠密に事を運ぶ場合など)。
diligent は「勤勉な」と訳されますが、ニュアンスは異なります。「勤勉」はまじめさの持続をいいますが、diligent はまじめなだけでなく「細心」で「徹底的」な態度が続くことを指します。diligent=「dis(分ける)+lig)(選ぶ)+ent(~の性質の)」で、物事をより分ける際の注意深さが意味に入っているのです。
dilate(late=横)は体の一部(瞳孔、鼻の穴、血管など)が「広がる」ことです。
猫の瞳は日中は縦長のスリット状になっていますが、暗くなるにつれて dilate します。猫は本来夜行性なので、強い光のもとでは瞳孔を細めて視細胞を守り、暗くなると広げてより多くの光を集める仕組みになっているのです。獲物に飛びかかろうとするときなど、注意を集中する際にも広がります。
最後に変化球を2つ見ておきましょう。
deluge は「洗い(lu)去る(dis)」ことで、「大洪水」を意味します。起源であるラテン語から古フランス語を経由する過程で「dis→de」と変化しました。
stain(汚す・しみをつける)は「 あらぬ方へ(dis)染める(tain=tin)」こと。中世の英語では distain という形でした。
今回はここまで。dis(接頭辞:離れて)の残りの英単語も以下の赤枠内のタグをクリックして表示させ覚えてしまいましょう。
語源学習のメリットとして、知識があまりないところからでも難易度の高い英単語までを比較的短時間でカバーできる点が挙げられます。
次回は cern_cret(語源:ふるい分ける)について見ていきましょう。