第10回 語源で学ぼう! ex_em= 外へ・なし・全く(1)

語源で英単語を学びましょう。語源での英単語学習には以下のメリットがあります。

①関連付けて覚えるので、一度に沢山の単語を覚えられる。
②(①と関連しますが)複数の単語と関連付けて覚えられるので、単語の意味を思い出しやすい。
③スペリングを見ただけで意味を推測できる単語もある。

今回はex_em= 外へ・なし・全く を取り上げたいと思います。

出典 pixabay

上の写真のように「EXIT」は非常口の標識に使われますが、exitという単語は非常口に限らず一般的に「出口」、または動詞として「外へ出る・退場する」を表します。ex( 外へ・なし・全く)+it(語源:行く)ですからわかりやすいですね。

ex_em(外へ・なし・全く)とin_em_en(中へ)は対をなす接頭辞です。ぜひin_em_enの回もご覧になって、理解を深めてください。

では、この二つを対照させて見ていきましょう。

includeは「含む・含める・包摂する」、excludeは「除く・除外する・排除する」を意味します。clud は「閉じる」を意味する語源。内に包み込むか、扉を閉ざしてはねつけるかの違いですね。

接尾辞iveをつけて形容詞形したexclusiveは、「特定のもの以外は含めない・寄せ付けない」というような意味で、例えば“an exclusive club”といえば入会条件が非常に厳しい(または偏った)「排他的な」クラブのことです。inclusiveは逆に部外者や少数者を排除しない態度を指します。名詞形では、social exclusion(社会的排除)、social inclusion(社会的包摂)という言葉があります。

implyim(=in)(接頭辞:中へ)+ply(語源:折り畳む)、つまり「中に包みこんでいる」ということで、「~を暗に示す・示唆する・含意する」という意味になります。形容詞形implicit は「暗黙の・暗に含んだ・潜在的に含んだ」、explicitは逆に「明示的な」。動詞形のexplicateは「事細かに説明する」という意味になります。

exploitexploit(=ply)で、implyと対の形をしていますが、意味は「~を活用しきる・~から最大の効用を引き出す」または「搾取する(フェアでないやり方で利用する)」です。いずれにしても「開いて中身を取り尽くす」わけですね。

vad(行く)を語源に持つinvadeの意味は「侵略する」。つまりずかずかと相手の領地に入っていくわけですが、inexにしたevadeだと「(姑息なやり方で)逃れる」とか「(都合が悪いので)遠回しに答える」という意味になります。この単語ではexのxが欠けて「e-」という形になっています。他にもそうした例はたくさんありますから注意してください。

以上のように、exin_em_enを対比させると理解しやすくなる場合が多々あります。とは言え、exには独自の意味もあります。

exが「全く・すっかり」を意味する場合があります。exterminateterminateは「終える・終わらせる・中絶する」を意味しますが、exterminateとなると「絶滅させる・皆殺しにする・根絶する」という意味になります。

ex-husbandex-presidentのように、exが「前の」を表すことがあります。「去った→前の」という感じです。ただしこの場合「ex-」とハイフンをつけて用います。また、くだけた言葉ではexだけで「前夫・前妻・元カレ・元カノ」を表す名詞になります。ex-factorというスラングは、「思い出したくないex」や、嫌なexにまつわるあれこれを指します。自己中で人格に問題のある元カレのことを歌ったローリン・ヒルの名曲“Ex-Factor”がこのスラングを広めるのに一役買いました。

尚、KOTOBAにはネイティブスピーカーの実際の発音を聴ける機能があります。exitexcludeで"ex"の発音が全く異なります。意味を効率よく覚えたついでに各々の単語の以下の箇所で発音もチェックしておきましょう。


今回はここまで。次回は「何をどう外へ出すのか」に注目して見ていくことにしましょう。