第74回 語源で学ぼう! tion = ~する事

語源で英単語を学びましょう。語源での英単語学習には以下のメリットがあります。

①関連付けて覚えるので、一度に沢山の単語を覚えられる。
②(①と関連しますが)複数の単語と関連付けて覚えられるので、単語の意味を思い出しやすい。
③スペリングを見ただけで意味を推測できる単語もある。


KOTOBAへの会員登録はこちらから

今回は「tion」= ~する事 を取り上げたいと思います。

station-839208_640
出典 pixabay

tion は動詞を名詞化する語尾と言えます。単語によって sion など他の形になる場合もありますが、本質的には同一です。どの形になるかはラテン語の文法まで遡らないと解明できませんので、動詞と名詞の形を一緒に丸暗記してしまうほうが得策です。

tion の意味については、次のように分けることができます。

①何かをすること
②それによって生じた状態・物
③それをする人・物
④それを行うための手段・機会

いくつかの単語について tion の意味を眺めてみましょう。

simulation は動詞 simulate に対応する名詞です。simulate =「同じような(simul)ものにする(ate)=「見せかける・偽装する」「現象のコンピュータ・モデルを作る」です。simulation は「見せかけること」「コンピュータ・モデルを作ること」(上の分類で①)や「コンピュータ・モデル」(②)を意味します。

consolation は動詞 console(慰める) に対応する名詞で、「慰められた状態」(②)や「慰めを与えてくれる人・物」(③)を意味します。なお、console の語源については確実な説がなく、「con(すっかり)+sole(慰める)」(ただし con の意味は欠落)、または consolidate(強固にする・統合する)の変形ではないかと言われています。

solutionsolve(解く)に対応し、「解答・答え」(②)「解決策」(④)を意味します。「溶液(溶媒に溶質を溶解させたもの)」(②)という意味もあります。

compete =「ともに(com)求める(pet)」=「競い合う」で、competition には「競い合い・競争」(①)と「競技会・競争相手」(④)という意味があります。

このように、一つの単語が tion に関して複数の意味を持つのが通例です。tion のつく単語を見たら①~④のどの意味なのか考えるようにすると、読解に大変役立ちます。

ところで、 ここまでの例では simulate/simulation のように動詞と名詞のペアが存在しましたが、対応する動詞が英語には存在しない場合もあります。ただし語源を考えれば名詞のなかに動詞を読み取ることができます。

例えば station がそうです。station の意味には「駅・発着場」のほか、「(police station など)特定の活動の拠点」「持ち場・部署」「社会的位階」などがあります。st は「立つ」を意味する語源で、「立っていること」「立って何かをする・待つ場所」「立ち位置」といった意味が station には込められているのです。

同様の例はたくさんありますが、ここでは st を含む単語をもう一つあげておきましょう。superstitionは「人より上に(super)立って(st)影響を与える物」を表し、「迷信」を意味します。

ちなみに、スティーヴィー・ワンダーの Superstition は歴史的名曲です。また、Pastime Paradise という曲には tion のつく名詞を立て続けに歌う印象的な箇所があります。まだ聴いたことがないという方はぜひ下の動画をご覧ください。


今回はここまで。tion(接尾辞:~する事)の残りの英単語も以下の赤枠内のタグをクリックして表示させ覚えてしまいましょう。

wiki%20778b2c977a9d
語源学習のメリットとして、知識があまりないところからでも難易度の高い英単語までを比較的短時間でカバーできる点が挙げられます。

次回は semble_simil(語源:同様な)について見ていきましょう。