語源で英単語を学びましょう。語源での英単語学習には以下のメリットがあります。
①関連付けて覚えるので、一度に沢山の単語を覚えられる。
②(①と関連しますが)複数の単語と関連付けて覚えられるので、単語の意味を思い出しやすい。
③スペリングを見ただけで意味を推測できる単語もある。
今回は pre = 前もって・以前の を取り上げたいと思います。
出典 pixabay
pre は接頭辞(prefix)の一つです。prefix は単語の「前の部分に(pre)取り付け(fix)」られている構成要素のことです。
pre は時間的な「前」を指す場合が最も多いのですが、prefix のように位置的な「前」を表す例も少なからずあります。先にそれを見ておきましょう。
present は多義語ですが、基本的な意味は「その場に・目の前に(pre)ある・いる(ent)」です(間の s は発音の便宜のために挿入されたもの)。そこから「現在(の)」という意味が派生し、動詞としては「(目の前に置く・示す→)公式に贈呈する・提示する」となり、さらに名詞の「贈り物・プレゼント」となりました。
precipitate は「頭(cip=cap)から先に(pre)、真っ逆さまに」落ちたり投げたりすることを表しています(ate は動詞であることを示す接尾辞)。英単語としては「突然(よくないことが)起こる」「急に激しく動く」「不意にある状態にいたらせる」を意味します。語源を考えると生々しいイメージが浮かび、覚えやすくなります。
preside は「衆の前に(pre)座る(sid)」ことを表し、 「議長・首席・トップを務める」「取り仕切る」を意味します。関連語の president(大統領・組織の長)も語源を考えるとイメージが非常に明瞭になります。
preside の pre の場合、「前」がやや比喩的な意味合いを帯びています。次の語も同様です。
prevail =「他よりも(pre)強い(vail)」=「打ち勝つ・優勢である」「(慣習として)広まっている」「(傾向として)広く存在する」
今度は pre が時間的な「前」を表す例をまとめて見ていきましょう。
prescribe =「pre(前もって)+scribe(書く)」=「定める・規定する・処方する」
prescription =「処方箋・処方薬」
prejudice =「pre(前もって)+jud(裁くこと=judge)」=「偏見」「先入観」
premonition =「pre(前もって)+mon(思い出させる・警告する)+ion(~すること)」=「(悪い)予感」
prerequisite =「pre(前もって)+re(繰り返し)+quisite(求められる)」=「(何かが起きる・行われるために)必要な」(形容詞)、「必須条件・必要なもの」(名詞)
prelude =「pre(前もって)+lude(遊ぶ・演じる)」=「前触れ」「前奏曲」
「プレリュード(前奏曲)」は歴史的にさまざまな傾向の曲を指しますが、現在よく知られているのは二つです。
(1)かっちりした構成の後半部と対をなす自由な前半部
(2)即興性の高い自由な構成を持つ独立した曲
(1)の代表としてバッハの「平均律クラヴィーア曲集第1巻」から第1番、(2)の代表としてショパンの「24の前奏曲」から第4番を聞いてみましょう。
尚、KOTOBAにはネイティブスピーカーの実際の発音を聴ける機能があります。prefix と prejudice で"pre"の発音が全く異なります。意味を効率よく覚えたついでに各々の単語の以下の箇所で発音もチェックしておきましょう。
また、pre(接頭辞:前もって・以前の)の残りの英単語も以下の赤枠内のタグをクリックして表示させ覚えてしまいましょう。
語源学習のメリットとして、知識があまりないところからでも難易度の高い英単語までを比較的短時間でカバーできる点が挙げられます。
次回は cap(語源:頭)について見ていきましょう。